sellerapple’s diary

本のアプリstandに投稿した記事の過去ログです。

2020-01-01から1年間の記事一覧

「ロンリネス」桐野夏生

「ロンリネス」桐野夏生 「ハピネス」の続編。夫と娘一人の有紗が住む21世紀の団地ことタワマンを舞台に前作とは違って団地妻もといタワマンママの水面下での足の蹴り合い及びマウントの奪い合いから、今作は思いもよらぬ男性との出会いそこからの発展と個人…

「飢餓同盟」安部公房

「飢餓同盟」安部公房著 かつての温泉街花園を舞台に土着の支配者とひもじいと称されるよそ者が結成したアナーキスト同盟たる「飢餓同盟」戦後民主主義を象徴する「読書会」3すくみのわちゃわちゃした対立を哀しくもどこかユーモラスに描く。 招致された医師…

「きみの鳥はうたえる」佐藤泰志著

「きみの鳥はうたえる」佐藤泰志著 佐藤泰志作品は一見、重く暗いと捉えがちであるが(もちろんその側面もあるが)「言い終わらないうちに、左の奴に脇腹を蹴られて、思わずうめき声をあげた。体勢をたてなおそうとすると、もうひとり男の腕が斜めからでてき…

「暗黒日記」清沢洌著岩波書店

「暗黒日記」清沢洌著岩波書店 著者の清沢洌 は外交評論家であり東洋経済新報社顧問であった。本書は言論思想の自由が獲得されたときに、戦争時期の日本政治と戦争政策、外交政策への批判的検討の材料を意識的に集積した内容となっている。ちなみに清沢洌 は…

「思考としてのランドスケープ 地上学への誘い」石川初著LIXIL出版

「思考としてのランドスケープ 地上学への誘い」石川初著LIXIL出版 「風景」や「景観」とも訳されるランドスケープへの新しい視点を気づかせてくれる。「里山セット」、「フィルタリング」されざるを得ない地図 内部を流動化するための外部の武骨化、どれも…

「台湾生まれ、日本語育ち」 温又柔著 白水社

「台湾生まれ、日本語育ち 」温又柔著 白水社 「母語」と「国語」の複雑な関係性、著者は始めは嫌悪していた台湾語、中国語、日本語が混ざり合う母親の「ママ語」からそのすべての言語が「母語」であると「発見」する、為政者の都合により変化する言語、その…

「アンダーグラウンド」村上春樹著 講談社

「アンダーグラウンド」村上春樹著 講談社 地下鉄サリン事件から25年、先日のニュースで事件により脳に重い損傷を受けその後遺症と闘ってきた女性が亡くなったこと知る。この女性とその兄の事は「アンダーグラウンド」村上春樹著講談社、読んでいたので無力…

「アラスカ原野行」ジョン・マクフィー著  平河出版社

「アラスカ原野行」ジョン・マクフィー著 平河出版社 全米一の面積と最小の人口密度を誇るアラスカ州つまり人がほとんどおらず広大な自然が残っている土地でもある。本書は70年代のアラスカを捉えた長編のルポであり、3章から成り立っている。そのなかでも興…