sellerapple’s diary

本のアプリstandに投稿した記事の過去ログです。

「きみの鳥はうたえる」佐藤泰志著

きみの鳥はうたえる佐藤泰志

 

佐藤泰志作品は一見、重く暗いと捉えがちであるが(もちろんその側面もあるが)「言い終わらないうちに、左の奴に脇腹を蹴られて、思わずうめき声をあげた。体勢をたてなおそうとすると、もうひとり男の腕が斜めからでてきた。あやうく顔をそらした。こぶしが

耳にあたって、切れたように痛んだ。そらした顔に別のこぶしが当たった。よろめいて地面に手をつくと背骨を思い切り蹴られた。続いて、めくらめっぽうに脇腹を蹴りあげられて、腹が熱くなり、胃液がこみあげてきた」素手喧嘩の流儀をわかっているというか実は躍動感あふれるリアルな暴力性が魅力でもあったりする。

 


8月に映画が公開になったが下記はその感想

「延々と流れるクラブと夜遊びのシーンのように若さと3人の関係はいつまでも続くと思われたが、突然にそして静かにその終わりを迎える。しかし終わりがあるからこそ始まることができるのだ。ハセガワストア、鈍色に光る市電のレール、佐知子の上げた髪。」

良い映画を見た。